はじめに
会社でやってるLean Coffeeで、「スクラムマスターはチームの何を改善するのか」というトピックがありました。
あらためて一人でゆっくり考えるとします。
スクラムマスターはチームがより成果を出せるように、チームの考え方・働き方・関係性を改善する
僕がどのくらいそれできてるの?は棚の奥に置いといて、これかなーと考えました。
より成果を出せるように
Lean Coffeeの中では「スピードを改善する?」のような質問が出てました。これは一つの成果ですよね。こんな感じに「何を改善するのか」の「何」には「なにかしらの成果」が入ることが期待されていたんだろうなと思います。
しかし、ここに特定の「なにかしらの成果」を入れるのは難しいです。チームによって、効果的な成果は異なるからです。あるチームはスピードを求めているかもしれないし、あるチームは何かしらのアウトカム指標を見ているかもしれません。チームに秩序を築きたいこともあるし、プロジェクトの透明性を求められているかもしれません。
スクラムマスターの貢献のスタートは、このチームにとっての成果とは何かを明らかにすることです。
それはチームが目標に掲げているかもしれない。ステークホルダーがうちうちに思っているかもしれない。まだだれもはっきりとは言えないかもしれない。それを明らかにするところから始まります。

チームにとっての成果が明らかになれば、その成果を出せるように考え方・働き方・関係性を改善していきます。
チームの考え方を改善する
スクラムマスターはチームの考え方を改善します。チームの出したい成果を出しやすい考え方をチームの土台に据える、みたいなイメージです。
スクラムマスターというくらいなので、ベースとしてはスクラムの考え方をチームに浸透させられるといいでしょう。でもそれが唯一解ではないので、押し付けてはいけません。
スクラムの考え方といえば、スクラムがベースとしている経験主義とリーン思考はかかせません。経験主義には透明性・検査・適応の三本柱がありますね。また、確約・集中・公開・尊敬・勇気の価値基準もあります。
他にもいろいろな考え方に触れておくといいです。XPなどの他のアジャイル開発手法や、LeSSやScrum@Scaleなどのスケーリング手法、HRT、テイラー主義、心理学、社会学、など近いところから遠いところまで役に立ちます。個人的には漫画とか歌とかはすごく参考になることがあります。偉人の名言やことわざなんかもいいですね。
とまぁ、そのチームに合った考え方をチームが共有している状態をつくります。それは議論・対話を通してだったり、プロセスや仕組みを整えることで行動から考え方に働きかける方法もあります。
チームの働き方を改善する
チームの考え方が成果をより出すために変われば、働き方もアップデートされなければなりません。成果を出しやすい働き方に変える必要がありますし、考え方と働き方がちぐはぐだと成果は出ません。
スクラムマスターは考え方と働き方が噛み合って成果を出しやすいチームの状態をつくります。スクラムマスター自身が働き方の仕組みを設計・実行・ファシリテーションしてもいいですし、チームがそれをするように仕掛けてもいいです。ただ、最初のうちはスクラムマスターが働き方のアップデートや定着を率先するほうがうまく進むと感じることが多いです。
この考え方と働き方が噛み合っているかは結構気にしています。考え方の土台をつくらずにスクラムのイベントや作成物を乗せても機能しません。考え方、信念のようなものがスクラムと合わないなら、スクラム以外の効果的な働き方を乗せることもスクラムマスターには求められます。
チームの関係性を改善する
スクラムマスターはチームの関係性も改善します。チームは関係性によって、1+1が3にも0.5にもなります。

関係性を改善するために、チームをファシリテートします。スクラムイベントやミーティングのファシリテーションをします。進行役的に進めることもあるし、一参加者でボソッと重要な問いを場に出したりすることもあります。トピックに合わせて「〇〇さんの意見も聞きたいー!」など、意見を場に出すお手伝いをしたりします。
チームメンバー間の関係性をよりよくするために、リアルタイムの会話を増やす営みやオンサイトでのイベントを考えたり、テキストコミュニケーションのお作法をチームで決めたらします。
関係性はチームの中だけでなく、チームとステークホルダーやチームと他のチームにもあります。チームの外の仕組みを整えたり、チームメンバーをけしかけたりして、チームの外との関係性も改善します。
おわりに
- スクラムマスターは、より成果を出しやすいチームに改善する
- 成果はチームによって違うので、チームにとっての成果を可視化することから始める
- チームがより成果を出しやすいチームに改善するために、チームの考え方・働き方・関係性を改善する
P.S.
スクラムマスターはアカウンタビリティという話
ここまで「スクラムマスター」の話をしてきたけど、スクラムマスターは職種ではないです。スクラムガイド的にはアカウンタビリティ。つまり、職種とかは関係なく、チームに最低ひとりはスクラムマスターのアカウンタビリティを持っている人がいないとうまく回らないよという話です。
誰でも担っていいし、誰かは担ってないとうまく機能しない。スクラムマスターがいるといいなと感じたら、あなたがそのアカウンタビリティを背負えばいいだけの話だったりします。
スクラムマスターは不要になるのか?
スクラムマスターの目標は自分を不要にすること、とは良く聞きます。僕もそう思います。まさに上の、スクラムチームの誰か、またはチーム全体として、スクラムマスターのアカウンタビリティを保持している状態って感じです。
一方で、不要になることはなかなか難しいんじゃないかとも思います。それは、スクラムマスターの専門性が、ほかの2つのアカウンタビリティ(プロダクトオーナー、開発者)と比べて、異質だからです。
スクラムマスターが磨いてきた専門性を、そう易々とチームが担えるようになるような気がしません。徐々にシフトを目指すのは大事ですが、早すぎる手離れは、チームの進化を止めたり、あらぬ方向に向かわせる事態にもなるのかなと思います。